Medical treatment診療内容
症状から探すほくろ

「ほくろ」というのは、正式な病名ではありません。「ほくろ」を医学的に正式に言うと、母斑細胞母斑や色素細胞母斑、色素性母斑などと呼ばれるものの中の、直径1.5cm程までの小さなもののことを指し、現在は限局性の皮膚奇形の一つと考えられています。そして、先天性(生まれつきあるもの)と後天性(生まれた後にできてくるもの)の2種類があります。「ほくろ」を「黒子」と呼ぶこともありますが、皮膚の病名として「黒子」と記載される場合は、この母斑細胞母斑とは異なった病態を指します。このようにいわゆる「ほくろ」は、母斑という病態の中の非常にごく一部のもののことを指すのです。

ところで、ほくろをとりたいと思う方はたくさんいらっしゃると思います。そして、「シミ」の項でもお話ししていますが、ほくろをとるに際しても、シミと同様その診断が非常に重要になってくるのです。さきほどお話ししたように、ほくろは母斑という病態のごく一部である以上、一般の方にはそれが本当にほくろなのか、それともほくろに似た違うものなのか、その区別をするのは非常に難しいと思います。ほくろと思っていたものが、実はいわゆるほくろではなかったということが往々にして起こり得ます。ほくろと思っていたものが実は悪性黒色腫という恐ろしい皮膚がんであることも十分にあり得ます。ですので、診断をしっかりできない病院でのやみくもなほくろの除去はお勧めできません。皮膚科専門医によるしっかりとした診断があって初めて、安心してほくろの除去ができるのではないでしょうか。

それではほくろの除去にはどういった方法があるでしょうか。方法としては手術による切除とレーザー治療の二つに分かれると思います。手術による切除は、普通に麻酔をしてメスで切って、縫うというものです。この手術による除去の最大のメリットは、とったものを顕微鏡でしっかり確認して最終の確定診断を行えることです。良性か悪性か、本当にほくろなのかどうかなど、全て正確に診断することができます。これはとても大きなメリットです。また保険診療の範囲で行えるので、コストが比較的安価であることが挙げられます。デメリットとしては目立つ傷痕が残ってしまうことです。どんなにきれいに傷痕を処理したとしても、どうしても切った痕はそれなりには残ってしまいます。それではレーザー治療はどうでしょうか。それは手術と全く逆になります。メリットはほとんど傷痕が目立たないように、きれいにとることが可能なことです。全くとった痕がないかというと、さすがにそれは難しいですが、少なくとも手術で切除するよりは格段にきれいにとることが可能です。デメリットは顕微鏡での最終的な診断はできませんので、良性か悪性かも含めて本当にほくろだったのかどうかさえもわからなくなってしまうことと、取り切れているかの確認ができないこと、そして保険診療ではなく自費診療ですのでコストがかかることです。こういった点を踏まえて切除の方法を決めていく必要があります。どちらがよいのかは視診、ダーモスコピー所見である程度の診断を行い、最終的には患者さんと相談して決めることになります。ただ、せっかく当クリニックでほくろを除去するわけですから、よりきれいにとることを考えて頂きたいところではあります。とはいえ、全てのほくろがレーザーで除去できるわけではありませんので、診察した上で相談して治療方針は決めていきます。


当クリニックでのレーザーによるほくろ除去

それではここからは当クリニックでのレーザーによるほくろ除去について詳しくお話ししていきたいと思います。当クリニックでは、レーザーによるほくろ除去にはまずは蒸散の深さを精密に制御できるコンピュータースキャナー付きの炭酸ガスレーザーのみで治療を行います。場合によっては炭酸ガスレーザー(CO2RE)と、ピコ秒レーザーを組み合わせて行います。他院では炭酸ガスレーザーのみによる除去が行われることがほとんどなのですが、それではどうしても削りすぎて瘢痕を作ってしまったり、逆に瘢痕を作らないように加減をして削ったために取り残してしまったりと、炭酸ガスレーザーのみでの治療ではどうしても限界があることがあります。そこで、それらの問題を解決するために当クリニックでは判断が難しい場合、複数のレーザーを用いてほくろの除去を行うようにしています。まずは炭酸ガスレーザーで瘢痕が残らない程度まで削ります。このままですと深い部分にはほくろの細胞が残ってしまいますので、そこにほくろの細胞が持つメラニンに反応するレーザーであるピコ秒レーザーを照射することで、深い部分に残った母斑細胞も破壊します。炭酸ガスレーザーは皮膚組織全体を蒸散してしまいますが、ピコ秒レーザーはメラニンにのみ反応し、他の組織にはほとんどダメージを与えませんので、瘢痕にはなりにくいです。このように複数のレーザーを用いることでよりきれいに、できる限り取り残しをなくすようにほくろ除去を行うことができます。ただ、そのほくろによってはメラニンの量が多かったり、かなり深い部分まで母斑細胞があったりということがありますので、その場合には一度の施術では取り切れない可能性もありますし、ピコ秒レーザーで効果がない場合もあります。その場合は無理をせず、何回かに分けて施術を行っていく必要があります。面倒と思うかもしれませんが、ここで無理をすると瘢痕が残ってしまったりして、せっかくきれいに治すはずが予想外の状況になってしまったりということになりかねませんので、よりきれいに、確実にほくろを除去するためには必要な過程と考えて下さい。ただ、かなり深い部分まで母斑細胞がある場合には、回数を重ねても除去しきれないことがあること、場合によっては瘢痕が残ってしまうことがあります。これはある程度事前に予想ができることもありますが、実際に施術してみないと深い部分の詳細な状態はわからないため、どうしても不確定な要素になってしまうことは了承して頂きたいと思います。

ほくろ除去後は当日から入浴可能で、除去部位も洗浄して頂きます。洗浄後に軟膏を外用し、ガーゼ等で保護、肌色のテープで固定します。場合によってはハイドロコロイド貼付剤をお渡しして、数日毎に交換することもあります。除去部位が上皮化するまでには1-2週間がかかることが多く、その間はご自身での処置が必要になります。この処置を怠ると瘢痕や炎症後の色素沈着などを生じやすくなりますので、非常に重要な点となります。除去部位に赤みが残ることがありますが、その期間はご本人の体質次第で非常に幅があります。赤みが残りやすい体質の方では半年程度かかることもあります。

レーザーによるほくろ除去は美容最優先で行いますので、どうしても取り残しが起きる可能性があります。できる限り完全除去を目指しますが、きれいにとることを最優先にする以上、それほど高いわけではありませんが手術に比べると再発の可能性がどうしても高くなります。とはいえ、半年(180日)以内の再発に関しては、当初の半額で再度治療を行わせて頂きます。ただし、半年以降の再発に関してはレーザーによるほくろ除去という治療の限界を考えると致し方ないところがありますので、申し訳ありませんが再度大きさに応じての治療費がかかることとなります。その場合は、大きさとしてはかなり小さなものとなりますので、最初ほどのコストはかからないことが多いと思います。


ほくろ除去の治療費

レーザーによるほくろ除去は1mmあたり5,500円(税込)(自費初診料3,300円は別途)となります。ほくろの大きさによっては他院よりも高いと感じることがあるかもしれませんが、複数のレーザーを用いて治療を行い最大限にきれいに除去できること、治療回数が増えても再診料以外の追加の費用はかからないこと、最終治療から半年以内の再発に関しても半額で再治療できることを考えると決して高くはないと思います。また、何らかのトラブルが起きた際の治療費も含んでいます。そういったことをトータルで考えて頂くと納得のできる価格ではないかと思います。