Medical treatment診療内容
症状から探すニキビ(尋常性痤瘡)・ニキビ痕

ニキビの正式な病名は尋常性痤瘡と言いますが、ただ痤瘡とだけ言うこともあります。なぜあえて「尋常性」がつくかというと、尋常ではないニキビもあるからです。同じ痤瘡でもステロイド痤瘡や毛包虫性痤瘡、集簇性痤瘡、壊死性痤瘡など、いくつもの痤瘡があります。ただ、通常みなさんがかかる痤瘡は尋常性痤瘡であり、その他の痤瘡はまれな病態です。ですので、ここでお話しするニキビというのは、特別な断りがない限りは尋常性痤瘡のことをお話ししていると思って下さい。

 ニキビに関しては非常に多くの方が経験する疾患で、日本では90%以上の人が経験すると言われています。医学的に90%以上と言われたら、ほぼ全員が経験する疾患と思って頂いてもよいかと思います。大部分の方のニキビは軽症から中等症程度であり、保険診療の範囲で十分治療可能、コントロール可能です。しかしながら、中等症から重症の方では、残念ながら保険診療の範囲では十分な治療ができないことも多くなります。ニキビは、急性期のひどい状態も問題なのですが、それが落ち着いた後に残る瘢痕も大きな問題となります。これらは全て、命に関わるようなものではありませんが、QOL(Quality of Life)に非常に大きな影響を及ぼします。ですので、いかに早く急性期のひどい状態を押さえ込み、瘢痕を残さないようにニキビを治療するかということが非常に重要になります。それにはやはり、保険診療の範囲でできる治療には限界があり、自費診療も交えて治療することが必要になってきます。私は20年間以上、皮膚科専門医として皮膚科診療に向き合い、多くのニキビの患者さんを診てきましたが、やはりどうしても保険診療でできる治療だけでは到底満足のいく治療はできなかったのが現実です。10年ほど前からディフェリン(アダパレン)という薬剤が登場してからは、日本のニキビ治療はだいぶ進歩してきましたが、それでもまだまだ道半ばといったところだと思います。特に瘢痕の治療に関しては保険診療ではカバーできるものは一つもなく、全く進歩していない状況です。この現状を打破するには、やはり保険外診療(自費診療)も検討していかなければ、満足のいくニキビの治療は難しいと思います。


それではまず、ニキビがどのようにしてできて、治っていくのかの概要をお話ししていきたいと思います。ニキビの出発点は面ぽう(コメド)というものです。あまり聞き慣れない言葉だと思います。これは毛穴に皮脂が溜まってできたもので、毛穴が閉鎖したものを白色面ぽう、毛穴が開いたものを黒色面ぽうと言います。ごく初期の面ぽうを微小面ぽうと言い、ここにアクネ菌などの細菌感染を起こすと、いわゆる一般に言われるニキビである赤い丘疹(赤ニキビ)や膿疱となります。これがひどくなると囊腫や硬結といった状態となってしまいます。そして感染が治まっていくと、紅斑と呼ばれる赤みとなり、最終的には瘢痕(傷痕)となります。

 治療はどうかというと、大きく分けて三つに分かれます。一つ目は面ぽうに対して行うもの、二つ目は感染に対して行うもの、そして三つ目は瘢痕に対して行うものとなります。まずは保険診療の範囲で行える治療をお話ししていきます。

 面ぽうに対して行う治療ですが、現在は三つの治療薬が保険診療で処方可能です。ディフェリンゲル(アダパレン)、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)、エピデュオゲル(アダパレンと過酸化ベンゾイルの混合製剤)の三つがあります。ディフェリンゲルは感染を伴ったニキビには効果が弱く、どちらかというと毛穴のつまりを解消して面ぽうを改善することでニキビができるのを予防します。ニキビができにくくなるため、使い続けることで効果を発揮するため、維持療法に向いている薬剤です。ベピオゲルは角層剥離作用と抗菌作用の二つを持ちあわせているため、面ぽうにも、感染を伴った赤ニキビにもどちらにも効果を発揮します。さらにこの抗菌作用は通常の抗生剤とは機序が異なるため、耐性菌(抗生剤の効かない菌)を作ることがないとされており、非常に使い勝手のよい薬剤です。ですので、現在の保険診療でのニキビ治療の主体はこのベピオゲルになります。最後にエピデュオゲルですが、これはディフェリンとベピオの混合製剤ですので、どちらの作用も持ちあわせており、効果としては最も強い薬剤になります。これらの薬剤全てに言えることなのですが、皮膚刺激性があることが難点となります。いずれの薬剤も寝る前に全体的に広めに外用し、起床後に洗顔料を使って洗い流すのですが、真っ赤になってしまったりすることも少なくありません。そのため、できるだけこれら薬剤の塗布前に、化粧水や乳液などでしっかり保湿をして頂いてから外用して頂くようにしています。ただ、それでも真っ赤になってしまうこともあるため、その場合は入浴の2-3時間前に外用して頂き、そのまま入浴して洗い流してしまうshort contact therapyを勧めています。2-3時間でも真っ赤になってしまう場合は、時間をできるだけ短くしていくようにしています。とにかくこれらの薬剤、特にディフェリンゲルは長く使って頂くことが最も重要になりますので、できる限り使い続けられるように工夫をしていきます。この様な副作用はエピデュオゲル>ディフェリンゲル>ベピオゲルの順に出やすいように思います。


次に感染に対する治療ですが、まずは先述したベピオゲルが第一選択の外用薬となります。この薬剤の抗菌作用は耐性菌を作らないため、非常に使いやすいです。その他には抗菌剤のゲルやローションが選択肢となります。ダラシンゲル・ローション(クリンダマイシン)、ゼビアックスローション(オゼノキサシン)、アクアチムクリーム・ローション(ナジフロキサシン)が選択肢として挙がります。その他には特殊なものとしてデュアック配合ゲル(過酸化ベンゾイルとダラシンの混合製剤)もあります。外用のみでの改善が難しい場合は、内服抗菌薬も選択肢になります。内服抗菌薬としてはビブラマイシン(ドキシサイクリン)、ミノマイシン(ミノサイクリン)、ルリッド(ロキシスロマイシン)、ファロム(ファロペネム)などが使用されます。ただ、抗生剤による治療は不適切な使用により耐性菌の発生を起こしてしまうため、必要最低限の期間に区切って使用する必要があります。ですので、急性期のひどい状態の時は抗生剤の外用や内服を行い、落ち着いてきたらできるだけ早期にベピオゲルやディフェリンゲル、エピデュオゲルなどの治療に移行することが重要となります。


最後に瘢痕に対してですが、残念ながら保険診療の範囲で行える治療は一つもありません。あえて言うなら、ベピオゲルの角層剥離作用が、軽いピーリング作用となりますので、それが若干の効果はあるかもしれませんが、気持ち程度の問題かと思います。

その他には漢方による治療もあり、希望のある方には処方致します。ただ、即効性と効果に関しては他の治療には劣りますので、どちらかというと維持療法の様相が強い治療となります。ニキビに使われる漢方は何種類かありますので、患者さん一人ひとりの体質や症状をみながら決めていきます。

以上が保険診療の範囲で行えるニキビの治療です。これらの治療は通常の皮膚科でも行える治療であり、当クリニックでなくても十分に治療可能です。当クリニックでニキビを治療するからには、保険外診療(自費診療)も織り交ぜながら、より早く、よりきれいに、瘢痕を残さずに治療することを目指して頂きたいと思います。それでは当院で行えるニキビの保険外診療の選択肢ですが、下記の様なものがあります。

いずれも個別に項を設けて、詳細に説明させて頂いていますので、そちらを参照して頂けたらと思います。

炎症性のニキビを多く認める場合に勧められる治療法は、ダーマペン4とCLRローションやウーバーピールの併用を行う方法と、ケミカルピーリングを行った後にエレクトロポレーションまたはレーザーフェイシャルを行う方法です。これらの方法は瘢痕にも炎症性の赤いニキビにもどちらにも効果を期待できます。

瘢痕に対してはピコフラクショナル、炭酸ガスレーザー、ダーマペン4(ヴェルベットスキン)、マッサージピールによる施術となります。今までは炭酸ガスレーザーのフラクショナル照射が最も効果は高いと言われてきましたが、その分ダウンタイムがあるため、それが許容できるのであれば勧められる治療でした。しかし、最近の論文で、当クリニックで導入しているPico Wayによるピコフラクショナルと炭酸ガスレーザーのフラクショナル照射では効果に有意差がなかったとする報告が出てきており、瘢痕に対する治療としてピコフラクショナルの有用性が注目されてきています。炭酸ガスレーザーと比較して、ピコフラクショナルの方が、痛みもダウンタイムも少なく、さらに効果にも差がないということになると、瘢痕の治療に関してはピコフラクショナルが最もよい治療法ということになるかと思います。ピコフラクショナルに関しては、まだ新しい治療法になるため、今後のデータの蓄積が待たれます。ダウンタイムが許容できない場合はダーマペン4やマッサージピールを選択されるのがよいかと思います。

以上、ニキビとその治療についてお話しさせて頂きました。ニキビやニキビ痕で悩まれている方は非常にたくさんいらっしゃると思います。ぜひ、当クリニックで相談して頂ければと思います。