Medical treatment診療内容
機器・施術から探すイソトレチノイン療法

 

イソトレチノインはレチノイドと呼ばれるビタミンA誘導体の一種で、ニキビの標準的治療である保険診療や、さらにそれに加えて様々な自費診療を併用しても改善の乏しい難治な重症のニキビに対して適応となる治療薬です。ただし、重症な副作用を生じる可能性のある治療薬であるため、その適応は慎重に見極める必要があります。個人輸入に関しては厚生労働省からの注意喚起も行われている薬剤で、個人での輸入は禁止されており、日本では未承認の薬剤となります。ただ、欧米におけるガイドラインにおいては、重症のニキビで第一選択とされる薬剤であり、ニキビ治療においては非常に有用な手段となることは間違いありません。米国のガイドラインでは、ほとんど全ての重症のニキビの治療に成功することが証明されており、ニキビ治療の最終手段とも言えます。ですので、日本でも日本皮膚科学会が中心となり、イソトレチノインを重症のニキビの治療薬として承認しようとする動きが出てきています。今後はイソトレチノインが承認薬となり、保険診療の範囲で行えるようになっていくと思われます。しかしながら、現段階では個人での輸入は禁止されていることから、医師の裁量で輸入し、しっかりと管理したうえで使用していく必要があります。

欧米では比較的高容量での投与が行われていますが、日本人では0.5mg/kg/日程度の投与で効果を発揮することが多いとされています。ただ、症状の経過や副作用を見ながら増減していきます。そして、この薬剤は治療における総投与量が重要とされており、1クールを16-24週として、必ず1クールを完結することが重要となります。ですので、治療がうまくいったからといって、早めに治療を中止してしまうと再発率が高くなってしまいますので、治療がうまくいったとしても必ず1クールを完結する必要があります。それでも一定の割合(30-50%程度)で再発を認めますので、その場合は再度もう1クール行います。

副作用が生じないかどうか確認するため、治療開始前と治療中は1か月毎に採血を行いながら治療を進めていきます。女性の場合で、妊娠の可能性がある場合は投与前に妊娠検査をさせて頂きます。その後も妊娠の可能性のある方の場合は妊娠検査も適宜行いながら投与を継続させて頂きます。

副作用

副作用は投与量が増えるほど起きやすくなりますが、日本人では比較的低用量で治療可能なことが多いため、副作用は起きにくいとされています。

 また、下記とは別に非常に重大な副作用として、催奇形性があります。これは妊娠している女性がイソトレチノインを使用すると流産や胎児奇形を起こすというものです。そのため、イソトレチノインの使用中と投与1か月前、投与終了後6か月間は妊娠が厳禁となります。もし妊娠してしまった場合は使用を中止し、すぐに医師に相談してください。

<軽症なもの>

下記の症状は対症的に治療をすることでイソトレチノインを継続することが可能で

あったり、症状が強い場合は減量することで治療を継続することができる場合もあります。

  • 皮膚や粘膜の乾燥症状(口唇炎はほぼ必発。眼瞼炎や結膜炎)
  • 鼻出血
  • 関節痛や筋肉痛
  • 手掌や足底の皮むけ
  • 脱毛
  • 軽度の頭痛
  • 軽度のめまいや吐き気

<重症なもの>

 下記の症状が出現した場合は、イソトレチノインの投与を中止し、医師に相談してください。

  • ひどい吐き気や嘔吐、下痢
  • 持続性のひどい頭痛
  • 目のかすみや視覚障害
  • うつ病、うつ症状

注意事項
  • 男女ともに、薬剤投与の1ヶ月前から投与中、投与終了後6ヶ月間は避妊を必ず行ってください。またその間の献血もできません。
  • 薬剤投与中、投与終了後6か月間、授乳はできません。
  • 皮膚の乾燥症状が出現することがあるため、保湿剤を適宜使用してください。角質除去剤やディフェリンゲル、ベピオゲル、エピデュオゲル、ピーリング製剤、レチノール製剤などは併用を控えて下さい。
  • 薬剤投与中、投与終了後6か月間は医療的なケミカルピーリングや医療レーザー脱毛、レーザーによるホクロ除去などの施術はできる限り避けて下さい。
  • 薬剤投与中はビタミンAのサプリメントの服用はできません。
  • 日焼けには十分注意してください。外出時など紫外線を浴びる際には必ず日焼け止めを使用して下さい。
  • 内服開始後数週間はニキビが悪化することがありますが、内服を継続することで改善していきます。
  • 必ず食後の満腹状態で服用するようにしてください。
施術を受けられない可能性のある方
  • 妊娠中の方、妊娠の可能性がある方、妊娠を計画されている方
  • 授乳中の方
  • 12歳未満の方、成長期の方(女性15歳未満、男性18歳未満)
  • イソトレチノイン製剤、トレチノイン製剤、ビタミンA製剤にアレルギーのある方
  • テトラサイクリン系抗生物質(ミノマイシンやビブラマイシンなど)を使用中の方
  • ビタミンA過剰症の方
  • 大豆やナッツのアレルギーの方

などがあります。こういった事項に当てはまる方、全てが施術できないわけではありませんので、詳しくは直接ご相談下さい。また、これ以外でも施術が難しい場合もありますので、問診の時点で既往歴や内服中の薬を確認させて頂き、施術可能か検討致します。