Medical treatment診療内容
症状から探す肝斑(かんぱん)・シスペラ

「シミ」の項でもお話ししていますが、肝斑は代表的なシミの一つです。ただ、他のシミとは異なり、非常に治療が難しい、ある意味特殊なシミですので、別に設けて説明させて頂きます。肝斑は16歳以上ででき始めることが多く、頬、おでこ、唇の上などにできます。両側に同じようにできることが多いのですが、片側だけのこともあります。色は褐色で、境界がはっきりしないことも多いですが、場所によってはくっきりとした境界がわかることもあります。濃くなったり薄くなったり色調が変化することがあります。髪の生え際や眉毛など毛のあるところを避ける傾向があります。原因ははっきりとはわかっていませんが、悪化要因はいくつか言われており、紫外線やホルモン、ストレスなどが考えられています。洗顔やメイクなどにおいて、擦りすぎることが原因ではないかとも言われていて、実際女性に多いことも肝斑の特徴です。

 肝斑の治療は、原因がわかっていないことから非常に難しく、ビタミンC・トラネキサム酸・ビタミンEの内服、ハイドロキノン外用、シスペラ外用、メラブライトC+外用、ケミカルピーリング、エレクトロポレーション、トラネックスピール、ポテンツァ、ピコトーニング(レーザートーニング:後ほど詳しくお話しします)などを組み合わせて行います。第一選択は内服や外用、ケミカルピーリングやエレクトロポレーションといった保存的加療です。それでも効果がない場合はトラネックスピール、ポテンツァ、ピコトーニング(レーザートーニング)などを検討していくことで早期の寛解を目指すことができます。ただ、肝斑を完治させる治療法は現状なく、これらの治療により、いかに抑えていくかということが目標となります。ですので、治療と並行して悪化させる要因をご自身でもできる限り排除していくことが大切です。例えば日焼けをできるだけ避ける、洗顔やお化粧で擦ることをできる限り減らす、などの工夫が必要になってきます。完治はできないものの、各種治療と日頃の工夫で、かなりの改善と維持は可能であることが多いと思います。


ピコトーニングについて

肝斑の治療として、以前からレーザートーニングというものがあります。これはシミを取るためのレーザーである1064nm QスイッチNd:YAGレーザーを低出力で照射するというものです。肝斑の治療は非常に難しく、通常のシミと同様の出力でレーザーを照射してしまうと悪化してしまったり、脱色素斑となってしまうことが多く、以前はレーザー治療は禁忌であり、基本的には内服や外用などの保存的治療が主に選択されてきました。しかし、ダウンタイムのない低出力で、1064nm QスイッチNd:YAGレーザーを照射することにより、メラニンを徐々に排除していくことが可能であることがわかってきたため、レーザートーニングも肝斑の一つの治療として確立されてきました。そして最近では、そのトーニングにピコ秒レーザーの効果が報じられるようになってきており、当クリニックでもピコ秒レーザーによるトーニング(ピコトーニング)を行っています。レーザーの特性など詳しいことはピコ秒レーザーの項にかなり詳しく記載していますので、そちらも参考にして頂くとよくわかると思いますが、ピコ秒レーザーではQスイッチNd:YAGレーザーによる光熱作用とは異なり、光音響作用による選択的なメラニン抑制作用を期待できるため、QスイッチNd:YAGレーザーよりも作用は強く、副作用は最小限に抑えられると期待されています。ただ、やはりピコトーニング(レーザートーニング)が肝斑の第一選択の治療法というわけではなく、内服や外用、ケミカルピーリング、エレクトロポレーションなどの保存的加療を行いながら、早期の改善を目指すための治療法の1つとして考えて頂くのがよいかと思います。ピコトーニングは1ヶ月に1回程度行っていきます。ダウンタイムのない治療になりますので、当日からのお化粧も可能であり、日常生活への制限もなく、比較的気軽に行って頂ける施術かと思います。ピコトーニングは以前までのQスイッチNd:YAGレーザーによるレーザートーニングよりも副作用は少なく、かつ少ない回数で効果を認めるため、世界的にもトーニングはQスイッチNd:YAGレーザーによるレーザートーニングからピコトーニングへと移行してきており、当クリニックではその最先端の治療を実感して頂けるかと思います。


ポテンツァについて

ポテンツァでは専用のチップを用いることで、肝斑や赤ら顔、酒さの治療にも効果を発揮することができます。肝斑治療では、メラノサイト自体に特定のRFエネルギーを与えることで、肝斑の原因となるメラニンの産生を抑制することが可能です。肝斑の場合、その疾患の特徴から非常に治療が難しく、治療の選択肢が限られることから、その選択枝が一つ増えることは非常に有用だと思われます。ピコトーニングは様々な副作用の報告もあり、肝斑の悪化や脱色素斑の副作用などの報告があるため、上記のように肝斑の治療の第一選択の治療とはならないとお話ししました。ポテンツァによる肝斑の治療はそういった副作用はほぼ起こさずに肝斑の治療をすることができることから、ケミカルピーリング+エレクトロポレーションやトラネックスピールの次の一手としては有用なのではと思われます。


シスペラについて

シスペラは「システアミン」を主成分とした美白剤です。システアミンは必須アミノ酸であるL-システインの分解生成物で、ヒト細胞によって合成される物質です。システアミンは哺乳動物の様々な組織に存在し、最も高濃度に含まれるのは母乳です。そのことからシステアミンは人体にとって非常に安全性の高い物質であるということがわかります。
現在、美白剤として主流なのはハイドロキノンであり、他の美白成分と比較しても有意に最も強い美白効果をもたらすことがわかっています。そして、システアミンはそのハイドロキノンよりもさらに強い美白効果をもたらすことが60年以上も前にわかっていました。しかしながらあまりに強い臭いのため、外用剤として使用することは不可能とされてきました。2012年に再開されたScientis社の研究により、システアミン分子の安定化と、臭いの減少を実現することができ、システアミンを5%配合するシスペラが誕生しました。システアミンは他の美白剤と異なり、非常に多くのメラニンを形成する経路を阻害することがわかっており、現在ある美白剤の中では最も効果が高いとされ、様々な臨床研究でそれが証明されています。American Academy of DermatologyやBritish Journal of Dermatologyなどといった皮膚科学の中でも非常に権威のある論文にいくつもの報告がなされていることから、その効果に関しては間違いありません。にもかかわらずハイドロキノンの様なアレルギー症状を生じることは非常にまれで、副作用もごくわずかなため、使用方法さえ守ればどの美白剤よりも優れていると言えます。また、シスペラには美白剤としての効果の他に、副次的な効果として肌のハリやツヤを引き出す効果もあり、美肌へと導きます。さらにハイドロキノンのように休薬期間を設ける必要はなく、長期連用も問題ありません。シスペラは顔だけでなく、口唇や乳輪、腋窩、デリケートゾーンなどといった皮膚の薄い敏感な部分にも問題なく使用できることから、とても使い勝手の良い美白剤です。


メラブライトC+について

メラブライトC+はシスペラ同様、「システアミン」を主成分とした美白剤です。メラブライトC+の主成分としては3%システアミン、1%フィチン酸、L-アスコルビン酸(天然ビタミンC)、イチョウ葉エキス、アセチルグリシルβアラニンなどが含まれています。システアミンの濃度は3%と、シスペラの5%よりも低いものの、アルファサイエンス社が開発したNextgen®と呼ばれる特許技術により、システアミンの様な不安定な壊れやすい分子も安定化させることができ、様々な成分との相互作用によりシスペラに劣らない美白作用を発揮することに成功しています。そして、シスペラと比較してシステアミン特有の臭いがかなり抑えられているため、シスペラの臭いがつらく使用が難しかった方にも使用することが可能です。また、システアミンではハイドロキノンに比べて圧倒的に接触皮膚炎などの副反応は少ないとされています。シスペラも非常に使いやすかったのですが、シスペラでは時折刺激性皮膚炎を生じてしまう方が一定数おり、そういった方はシスペラの使用ができませんでした。しかし、このメラブライトC+ではそういった反応を起こす方は非常に少ないとされており、非常に使い勝手がよくなっていると感じます。使用方法が異なることから患者様の好みに合わせて、システアミン製剤を選択できるようになったことは非常に喜ばしいことだと思います。