Medical treatment診療内容
症状から探す酒さ・赤ら顔

「酒さ」という病気をご存じでしょうか。あまり聞いたことがないと言う人がほとんどではないかと思います。皮膚科では一般的な病気なのですが、一般の方にはあまり知られていない病気の一つではないかと思います。よく赤ら顔、と言う言葉を聞きますが、赤ら顔というのは病気の名前ではなく、顔が赤い状態のことを言っており、原因は様々です。その原因の中の一つが酒さという病気なのです。いろいろなホームページを見ると、この二つがまるで同じものの様に書かれていることも多く見受けられますが、酒さは病気であり、赤ら顔は状態のことを言っているということなので、その赤ら顔の原因を考えることがまずは大切なのです。その原因によって治療も変わってきます。赤ら顔の原因として考えられるのは酒さ、酒さ様皮膚炎のほか、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎といった湿疹性病変、膠原病、肝疾患など多岐に渡ります。また、元々色白の方や、寒冷地に住んでいる場合には赤ら顔の症状が出やすいとも言われていますし、生まれつき顔の一部が赤くなりやすい体質の方もいます。そういった方は気温の変化や飲酒、緊張、運動など血行がよくなることで症状が目立ってきます。


酒さの病型・症状

酒さには4つの型があると言われています。

  1. 紅斑毛細血管拡張型(顔のびまん性の赤みと毛細血管拡張が見られます)
  2. 丘疹膿疱型(ニキビのような皮疹ができます)
  3. 鼻瘤型(鼻がコブのようになっていきます)
  4. 眼型(眼の周りの腫れや結膜炎、角膜炎を生じてきます)

1→2→3と症状が進んでいく場合もあり、こういったタイプは男性に多いです。いわゆる赤ら顔は1の型になりますが、これは中高年の女性に多く、あまり2や3へと進展していく方は少ないと思われます。


酒さの原因

酒さの原因はまだはっきりしていません。紫外線や温度変化、飲酒、刺激物の摂取、ニキビダニと呼ばれる毛包虫の感染や化粧品などのかぶれなどが原因として考えられていますが、まだ確定的なものはありません。ステロイド外用剤の長期連用による酒さ様皮膚炎、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎といった湿疹性病変、膠原病、肝疾患などとの鑑別が必要なこともあり、皮膚科専門医によるしっかりとした診断が重要になります。


酒さ・赤ら顔の治療

酒さと診断が確定できれば第一選択の治療はニキビに準じた治療となりますので、ミノサイクリンやドキシサイクリンといった抗生剤の内服や、外用としてはメトロニダゾールの外用薬であるロゼックスゲルを使用します。漢方薬を使用することもあります。また、悪化の原因となるようなものをできる限り避けるようにすることが大切です。

 酒さ以外の疾患の場合は、それに合わせた治療が必要になりますので、その症状に合わせて相談させて頂きます。当クリニックで治療可能な酒さは①または②の型のみとなりますので、それ以外の型の場合や、その他の疾患の場合は他の皮膚科や形成外科などへ紹介させて頂くことがありますのでご了承下さい。

紅斑毛細血管拡張型の酒さや、病気ではなく、いわゆる体質的な赤ら顔に対しては、Nd:YAGレーザーの照射やポテンツァ、ホームケアでの高濃度脂溶性ビタミンCや両親媒性ビタミンCの使用が効果的です。レーザーの詳細に関してはGentleMax Proの項を、ポテンツァに関してはポテンツァの項をご参照下さい。各種ピーリングも効果がありますのでご検討下さい。