Medical treatment診療内容
症状から探すED(勃起不全症・勃起障害)

ED(勃起不全症・勃起障害)とは、Erectile Dysfunctionの略で「勃起機能の低下」を意味します。医学的には「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること」とされています。それは、勃起が起こらないケースはもちろんのこと、硬さが不十分、勃起状態が維持できないなど、満足な性交を行えるだけの勃起が得られない状態は、全てED(勃起不全症)となります。

 1998年というだいぶ古いデータになりますが、日本人男性の実に1130万人以上もの男性がEDに罹患していると推測されています。40歳代の5人に1人、50歳代の2.5人に1人、60歳代の1.7人に1人が中等度以上のEDであるとの調査結果があります。つまりパーセントでわかりやすくすると、40歳代で20%、50歳代で40%、60歳代では60%もの人がEDとなっているということであり、これは驚くべき数字ではないでしょうか。EDは決して人ごとではなく、身近な疾患と言ってよいのではないかと思います。それほど身近な疾患であるにも関わらず、EDという疾患の特徴、つまりとてもセンシティブな疾患ゆえに、その治療のために病院にかかる方はごく一部に限られているのが現実です。しかし、治療することで改善する方も多く、ぜひ一度ご相談頂ければと思います。


EDのタイプと原因

純粋な心因性EDは10-20%程度と言われており、大部分が器質性または混合性のEDと言われています。ですので、やはりEDの予防、治療のためには生活習慣病を予防し、発症している場合はしっかりと治療することが、EDのためにも重要なことだと思われます。


EDの治療

純粋な器質性EDの場合は、その原因疾患の治療や生活習慣の改善がまず大前提となります。心因性EDや混合性EDの場合には、薬による治療が第一選択になってきます。現在は3種類のED治療薬が承認、発売されており、その特徴により使い分けることができます。いずれの薬剤もジェネリック薬品がすでに発売されており、コストを抑えたい方はジェネリック薬品を試してみて下さい。様々な違いはあるものの、作用機序は同じで、陰茎海綿体で勃起に関与するPDE-5(phosphodiesterase-5)という酵素の働きを阻害することによって薬効が得られます。内服後、薬の効果は持続しますが、その間ずっと勃起したままになるというわけではなく、刺激に対して反応しやすくなり、その勃起状態も持続しやすくなる、というのがED治療薬の特徴です。よくED治療薬を内服すると性欲や精力が強くなったり、勃起がずっと続くと誤解されている方がいますが、そういったことは全くなく、必要な時にのみ勃起が起きやすくなり、持続することができるという、まさにいいとこ取りの薬剤なのです。それでは現在、日本で厚生労働省に承認され、販売されている3つのED治療薬についてお話ししたいと思います。

以上、3種類のED治療薬がありますが、どれが一番自分に合っているか非常に迷うかと思います。その人の生活スタイルや使うタイミング、薬との相性があり、一概にどれがいいとは言えません。まずは何錠かずつ、3種類いずれも試してみて、自分に一番合ったものを探すのがよいかと思います。また、その時々によって使い分けるという使い方もよいかと思います。

そして、よくある話なのですが、先発品では十分な効果があるのに、ジェネリックに変えたら効果が弱まったということがあります。ジェネリックは主成分が先発品と同様であり、効果が十分に発揮されるようであれば非常に有用な薬剤です。ただ、まれにジェネリックでは効果が劣ることもありますので、ED治療薬においては、まずは先発品から試して頂き、効果が十分であることを確認した後にジェネリックにスイッチして頂き、効果が同様であるかを確認して頂くのがよいかと思います。

ED治療薬の副作用

主な副作用としては下記の様なものがありますが、いずれも軽度で、一過性です。

  • 頭痛
  • ほてり
  • 消化不良
  • 鼻閉
  • めまい
  • 眼症状
  • 背部痛

なお、その他に重篤な副作用として非動脈炎性前部虚血性視神経症、突発性難聴、前立腺がん術後のPSA再発、メラノーマなどがガイドライン上、挙げられていますが、日本での報告はなく、関連性もはっきりとしないため、非常にごくまれか、関連性がないかもしれない副作用と思われます。持続勃起症は日本で一例のみバイアグラでの報告がありますので、4時間以上勃起が持続するような場合は治療の必要性があると思われますが、非常にごくまれな副作用と思われます。

以上のようにED治療薬は目立った副作用もない、非常に有用な薬剤と思って頂いてよいかと思います。もちろん女性側の妊娠や授乳への影響はないため、その点も重要なポイントではないかと思います。

ED治療薬の併用注意薬など

ED治療ガイドラインに下記の様な表が記されています。診察、処方時にいくつか確認させて頂き、該当する場合は処方できない可能性もありますので、ご了承下さい。


ED治療薬の偽物にはくれぐれもご注意を!!!

PDE-5阻害薬は、保険適応がないため高価であること、羞恥心、などといったことから偽造薬品の大きなターゲットになっています。2016年にファイザー社、バイエル社、日本新薬、イーライリリー社の4社合同調査によるプレスリリースが公表され、その調査の結果、インターネット経由で医薬品個人輸入代行業者などを通して販売されていたED治療薬のうち、実に約4割もの販売品が偽造品であることが判明しました。2015年に税関で差し止められた偽造医薬品は、1,030件と10年前に比べて100倍ほどに増えており、その大部分がED治療薬と報告されています。これらの偽造品では、表示通りの薬効成分が含まれないもの(表示の0-200%)、汚染物質や不純物(タルカムパウダー、塗料、印刷用インクなど)、健康被害をもたらす薬物(アンフェタミン、カフェイン、メトロニダゾールなど)を含有するものが報告されており、非常に危険であることを示しています。そのため、インターネット経由でED治療薬を購入するのは、非常に危険な行為であることをわかって頂きたいと思います。少しでも悩んでいるのならば当クリニックで気軽に相談して下さい。安心安全なED治療薬を処方させて頂きます。