Medical treatment診療内容
症状から探す入れ墨・刺青(タトゥー)

若い頃に入れたタトゥーをなくしたいと考えている方は意外と多いのではないでしょうか。結婚や就職を機に、また家族や友人とプールや温泉に行きたいと思った時に、タトゥーをとりたいと考えることが多いと思います。また、過去にタトゥーをレーザーで治療したことはあるけれども、思ったような成果が出なかった、という方もいるかと思います。

そんな方たちには最新のピコ秒レーザーによる治療がお勧めです。ピコ秒レーザーに関してはピコ秒レーザーの項を参照して頂くと、今までのナノ秒レーザーとの違いがわかって頂けると思います。ピコ秒レーザーはナノ秒レーザーと比べて、格段にタトゥーの治療を進歩させました。ナノ秒レーザーは青や黒といった色のタトゥーを除去することはそれなりにできましたが、それ以外の色のタトゥーでは、あまり効果を発揮することができませんでした。しかし、ピコ秒レーザーの出現で、多色彫りのタトゥーも治療することが可能になりました。また、治療回数もナノ秒レーザーに比べると格段に減らすことが可能となりました。そうは言ってもタトゥーの治療において、ピコ秒レーザーが万能かというと、そういうわけではありません。まず最初に、タトゥーの治療は非常に難しいということを申し上げておく必要があるでしょう。巷に溢れる美容クリニックのホームページには、ピコ秒レーザーなら以前までのレーザーと違い、タトゥーをきれいに、簡単に、短期間できれいに治せると謳っているものも多く見受けられますが、現実にはそんなことはありせん。確かにピコ秒レーザーの出現で、タトゥーの治療は格段に向上しましたが、まだまだ完全にすっかりきれいにすることはかなり難しい症例もあるのが現実なのです。タトゥーの治療は費用もかなり高額になることからも、その点をわかって頂いた上で、納得して治療を受けて頂きたいと思います。


タトゥーのレーザー治療は、レーザーの光が色素に吸収されることで色素を破壊し、除去されることで成り立ちます。その色素によって吸収される光の波長が異なるため、以前までのレーザーではなかなか多色彫りのタトゥーを治療することは難しかったのです。当クリニックのピコ秒レーザーであるPico Wayは3種類の波長を使い分けることで、様々な色素に対応することができます。また、詳しくはピコ秒レーザーの項で説明していますが、光音響作用により、色素を光熱作用よりも格段に細かく砕くことができるため、治療回数も減らすことが可能となっています。これだけ聞くとピコ秒レーザーならばどんなタトゥーも治療できるのではと、思ってしまうかもしれませんが、話はそう単純ではありません。タトゥーと一言で言っても千差万別、どれ一つ同じものは存在しません。色素の材質、色調の違い、深さの違い、など全てが異なります。さらに、タトゥーは針で皮膚に傷を付けながら色素を注入していくわけですから、当然のことながら皮膚に傷痕が付いているのです。ただ、色が付いているとその傷は目立たないためわからないのですが、色がなくなってしまうと、今度はその傷痕が目立ってきてしまうこともあるのです。タトゥーはどのような材質の色素を使っているかによってレーザーの反応は異なります。同じような色のタトゥーであっても、色素の材質が違うだけで、レーザーに対する反応は異なってきます。また、色素の入っている深さもそれぞれです。レーザーの光は波長により届く深さもある程度決まっています。浅い位置に色素があるようであれば、どの波長であっても程度の差はあるものの効果は発揮できると思いますが、あまり深い位置まで入ってしまっている色素を除去するのは容易ではありません。回数を重ねることである程度は効果が出るかもしれませんが、色調によっては深い位置にある色素にはほとんど効果を発揮できないこともあり得ます。他に非常に厄介な問題となるのは白色や肌色、茶色、ピンク色といった色素です。タトゥーをぼかしたり、色調を薄めるために使用されていますが、事前にこれらの色素が使われているか確認することは不可能です。そして、これらの色素に対するレーザーの反応は様々で、黒色化などの予期できない反応を引き起こします。つまり、常に白色や肌色、茶色、ピンク色の色素が使われている可能性を念頭に置きながら治療する必要があります。ですので、もし黒色化などの予期せぬ反応を生じたとしても、それに関しては事前にご了承頂き、治療に望まれる必要があることをご理解下さい。ただ、黒色化の場合は黒色に効果のある波長のレーザーにより、ある程度までは薄くすることは可能かと思われます。

 この様にタトゥーの治療はピコ秒レーザーの出現により、かなりの進歩を遂げましたが、まだ完璧に消せないタトゥーもあります。特にプロの彫り師が入れたタトゥーは深く、色素の量も多いため、治療はかなり困難となります。また、先述したように、色は消えても白い傷痕が残ることも多くあります。この白い傷痕は完全に消すことは難しいですが、炭酸ガスレーザーやダーマペンの施術により、できるだけ目立たなくすることや、やけどの痕の様にすることでぼかすことはできます。こういった理由から、タトゥーの治療回数を事前に設定することは困難ですし、それに伴い当然のことながらトータルの費用も設定することはなかなか難しいのが現実です。ぼかす治療も加えていくとそれに伴う費用もかかってきます。また、浅いタトゥーではクリームでの表面麻酔でも十分施術可能ですが、深いタトゥーの場合は痛みもかなり強くなりますので、局所麻酔も必要になってきます。使用できる麻酔の量にも限界がありますので、1回当たりに行える治療は限られてきますから、範囲が広い場合は何回かに分けて治療していく必要があります。 ここまで話してくると、タトゥーの治療が一筋縄ではいかないものであることも納得して頂けるのではないかと思います。ただ、ピコ秒レーザーの出現でタトゥーの治療が大きく進歩したのは確かです。過去に入れてしまったタトゥーで悩んでおられるようならば、一度当クリニックを訪れて相談して頂ければと思います。


症例

注意事項
  • 施術後1〜2週間は軟膏処置をしてガーゼを貼って頂いたり、ハイドロコロイド剤を貼って頂きます。施術当日はシャワーのみとして頂き、翌日から湯船にも浸かって頂いて構いません。洗浄はして頂くのですが、強く擦ったりしないようにして下さい。
  • 施術当日~数日間に水疱ができることがあります。その場合、1週間程度でかさぶたとなりとれていきます。
  • かさぶたがとれてしばらくたってから炎症後の色素沈着が起こることがあります。日本人ではこの炎症後色素沈着が白人よりも多く生じるとされています。3〜6ヶ月程度で自然に消えることも多いですが、できるだけ早期に改善するため、ハイドロキノンの外用を行うこともあります。
  • 施術後、ごくまれですが、脱色素斑(色が抜けてしまうこと)が起こることがあります。日焼け後に照射した場合に多く起こると言われており、照射前後の日焼けは必ず避けて下さい。
  • 擦れやすい場所や日焼けをしやすい場所は、施術後の色素沈着が起こりやすいと言われています。また、施術後の処置をしっかりしないことによっても色素沈着のリスクが上がると言われています。施術前、後ともに日焼けは必ず避け、SPF30以上の日焼け止めを使用するようにして下さい。また、施術後の処置は必ずしっかり行って下さい。できればSPF50以上が望ましいですが市販の日焼け止めの使用はできません。クリニックでしか販売できない、非常に使い心地、使い勝手がよく、各種美容施術後にも使用できるドクターズコスメの日焼け止めを販売しています。伸びもよく、白浮きもせず、石けんで容易に落とせる日焼け止めですので、非常にお勧めです。全顔への照射後にも使用できます。同様の施術後にも使用できるBBクリームもありますのでご相談下さい。
  • タトゥーは針で色素を注入していますので、元々傷痕が残っていることもあります。治療が進むにつれて色が消退していくと、この傷痕が白い瘢痕として目立ってくることがあります。瘢痕に対しては炭酸ガスレーザーによる照射やダーマペンによる施術で、ある程度の改善は望めますが、完全になくすことは難しいと考えて下さい。
  • タトゥーは色素が注入されているので、そのままではわかりませんが、元々色素脱失(肌の白色化)を伴っていることも少なくありません。レーザーにより色がなくなると、この色素脱失がわかるようになってくることがあります。また、色素が濃い場合などは色素脱失が起きやすいとも言われています。色素脱失になってしまった部位は、瘢痕となってしまった場合と同様、炭酸ガスレーザーによる施術である程度の改善は望めると思いますが、完全に回復させることは困難である可能性が高いことをご理解下さい。
  • クリームによる表面麻酔を行ってから施術をしますが、色素が濃い場合や深い場合は、痛みが強い可能性が高いですので、表面麻酔に加えて、注射による局所麻酔も必要となります。表面麻酔、局所麻酔ともに、範囲が広い場合は使える麻酔の量に限界がありますので、何度かに分けて施術を行っていく必要があります。
  • 白、肌色、茶色、ピンク色等に照射した後に、黒色化してしまうことがあります。これはその色素に含まれる成分により起こるものですので、注入されている色素の組成がわかれば事前予測も可能かもしれませんが、正確に予測することはほぼ不可能です。これらの色素は比較的目立たない色ですが、レーザーを照射することで黒色化し、目立ってしまうようになることも十分にあり得ます。ぼかすために使用している場合はこれらの色素が使われていることがわからないことも十分にあり得ます。ですので、タトゥーにレーザーを照射する際は常に黒色化などの予期せぬ反応のリスクがあることをご理解頂き、施術を受けて下さい。万が一黒色化してしまった場合は1064nmの波長のピコ秒レーザーを繰り返し照射することで、ある程度の改善は望めますが、回数が必要であること、完全に消失する事ができるかは施術してみないとわからないことをご理解下さい。
  • 施術後はしっかりと保湿をするようにして下さい。
  • 麻酔薬のアレルギーがある方は事前にお伝え下さい。
  • 施術は1〜2ヶ月毎に行っていきます。必要な回数に関しては正確には断定できないことをご理解下さい。
施術を受けられない可能性のある方
  • 妊娠中の方
  • 施術部位に何らかの皮膚病変がある方
  • 光線過敏のある方
  • 光線過敏を誘発する薬剤、外用薬、サプリメントを使用中の方
  • 日焼け直後の方
  • 金製剤の使用歴のある方

などがあります。こういった事項に当てはまる方、全てが施術できないわけではありませんので、詳しくは直接ご相談下さい。また、これ以外でも施術が難しい場合もありますので、問診の時点で既往歴や内服中の薬を確認させて頂き、施術可能か検討致します。